草野

国立音楽大学付属高校、桐朋学園大学ピアノ科に学ぶ。小松典子、大島正泰、ペーター・ソリモスの各氏に師事。1973年デビュー以来、意欲的にリサイタルを重ねる。
19761月東京交響楽団とグリークのピアノ協奏曲を協演。完璧なテクニックと豊かな音楽性は大型新人ピアニストとして将来を嘱望され好評を得る。その後、読響、新日本フィル、日本フィル等のオーケストラと協演、またウィーン八重奏団等と室内楽も積極的にこなす。NHK・FM出演等放送分野でも多方面にわたり活躍。現在はソロ活動がメイン。ロマン派作品を中心に国内外で精力的に演奏会活動を行う。


   かつてロマン派の時代、巨匠達の手によってピアノは雄弁に語り、スリルに満ち、ときには官能的に演奏されてきた。やがて訪れた反ロマン主義の嵐の中、多くのレパートリーが失われ、演奏スタイルも変化した。ごく一部のピアニスト〜ホロヴィッツやチェルカスキーだけが依然としてロマン主義の旗を揚げ、偉大なる演奏の伝統とレパートリーを守り続けたのである。そして両人が鬼籍に入り、21世紀になった今、再びロマン派のピアノ音楽が再評価されつつある兆しが見えてきた。

この流れを先取りすること30年、リストのオペラ・ファンタジーやゴドウスキーのワルツ・パラフレーズなどをレパートリーに取り入れていたピアニストが日本に在るといえば、驚かれるだろうか?草野政眞氏がその人である。

今でこそ、ロマン派の作品を取り上げるピアニストも増えたが、そういった昨今のピアニスト達と一線を画すのは、その演奏スタイルである。その壮麗かつ豪胆な演奏スタイルは、ロマン派の巨匠達の系譜を直接に汲むといっても過言ではなかろう。事実、チェルカスキーは生前、草野氏の演奏を聴き、演奏家としての氏の資質を見抜いた次のような賛辞を送った。


率直に言って、私は非常に驚きました。あなたの演奏は並外れており、完璧です。あらゆる資質、とりわけ、心から自然に湧き上がる音楽的感覚に溢れています。非常に透明で、清潔感があり、美しく、およそ演奏に必要な要素をすべて備えています。なぜ、そんなあなたがもっと国際的に知られていないのか不思議です。実際、私はあなたがどこでどのような演奏活動をしている人なのか、全く存じません。
グルック(Gluck)作ズガンバティ(Sgambati)編のメロディーの出だしの音を聴いた瞬間に、あなたが「どこにでもいる同じような若いピアニスト」とは違うことが分かりました。大抵の若い演奏家は、あなたが演奏するような感情や喜びを表現できていません。もっとはっきっり言えば、あなたの演奏、解釈はまさに私と同じで、わたしも、同じように感じます。
   もっとあなたのことを教えてください。あなたのような人が色々な国でもっと演奏する機会がないのは嘆かわしいことです。あなたのバッハ、ベートーベン、プラームス、そしてできればショパンも是非聴きたいと思います。

[チェルカスキー氏の言葉より (訳 岡田眞理)  - 原文へのリンク -


草野氏の演奏を、我々がCDやそれ以上にエキサイティングな生の演奏会で聴く機会に恵まれるのならば、幸いである。

(高木 洋明)

 
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